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2023年1月

2023年1月30日 (月)

2023年2月の時流塾開催

2023年2月の時流塾は10()に開催いたします。

      発表者   水野靖夫、山本紀久雄

      時間    1430分~1645

      会費    1000

      会場    東京文化会館・小会議室1

2. 2023年2月8日(水)例会開催

2023年28()例会は、会場の都合で2月8日開催し、山本紀久雄から「九代目市川団十郎と山岡鉄舟 前編」を発表いたします。

江戸・東京歌舞伎の中で常に特別な地位を占め、最も大きく重い名前とランク付けされてきたのが「市川団十郎」の名跡である。

その名跡を受け継いだ代々の団十郎の中で、明治維新という大改革を経た九代目は、不世出と言われた名優だったばかりでなく、演劇改良・役者の社会的地位の向上など、近代化の苦悩にあえいでいた歌舞伎界のリーダーとして縦横の活躍を見せ、九代目の余響が強力に現代の歌舞伎に及んでいる。

この九代目が、『おれの師匠』(小倉鉄樹著 島津書房 2001)に「鉄舟から直接大感化を受けていた」、また、『山岡鉄舟の一生』(牛山栄治編 春風館 1967)でも「九代目が鉄舟のところへよく来ていた」と記述されている。

従来の鉄舟研究、九代目に触れているものがなく、今回の発表が初めてと考えます。

九代目は鉄舟から何を得て偉大な明治歌舞伎界の改革者になったのか。

ご期待願います。

    テーマ   「九代目市川団十郎と山岡鉄舟 前編」

    日程    202328() 時間    1830分~20時

    発表者   山本紀久雄

    会費    1500

    会場    東京文化会館・中会議室1

2023年1月例会開催結果

2023年1月25日は、東洋大学大学院博士後期課程在籍・明治維新史学会会員の小林哲也氏から

「江戸無血開城」を考える―『江戸無血開城の史料学』に寄せて―

についてご発表いただきました。

 小林氏は、まず幕末期、特に文久期(18611863)から遡って考えることで、諸問題を考えていくと述べられ、主なる12著者による先行研究書に触れた後、いくつかの新見解を解説されました。

  • 徳川慶喜が上表した、いわゆる「大政奉還」とは、「政権奉還/政権奉帰」と呼ぶべきではないかと次のように指摘された。

幕末当時は「大政」、あるいは「政権」、そして「奉還」あるいは「奉帰」が用いられていた。例会資料で紹介した「政権を朝廷ニ奉帰建白写」(松戸市戸定歴史館(他)編『没後100年徳川慶喜』展図録。原史料は松戸市戸定歴史館蔵2013年)では「奉帰」が用いられており、渋沢栄一編『徳川慶喜公伝』でも「政権奉還」と記されている。このように「大政奉還」は幕末当時の用語でなく、後世の造語と考える。

なお、山本が昨年1224()、明治神宮主催の聖徳記念絵画館セミナーで副館長から壁画について解説を受けた際、「大政奉還」 (作者 邨田丹陵) 壁画が、最も各方面から引用依頼が多いと述べておりましたこと付言いたします。

  • 坪井信良書簡(230日付)にみる江戸無血開城前の様子

坪井信良とは幕末・明治期の蘭方医で慶喜の侍医であるが、以下の書簡を遺している。(東京大学明治維新史料研究会・宮地正人編『幕末維新風雲通信』197812月)(岩下哲典氏よりご教示)

「○二月三日ニ鳳輦二条城エ御幸有之、同十五日ニ大坂御幸ト之事、是ハ征東之訳也。十六日陸軍勢揃、廿日海軍勢揃ニテ東下之筈。已ニ勅使ハ東海道筋ヲ下リ、昨今駿府逗留、三月五日ニハ江戸入之筈。其大意二十ヶ条之罪状ヲ詰問シ、五ヶ条之題難之由、・・・」

  上記の「五ヶ条之題難之由」が鉄舟に下された5カ条ではないかと、現在研究中とのこと。新しい史料に基づく小林氏の研究成果が待たれます。

  • 元田永孚「還暦之記」(明治11)に記された江戸無血開城(元田竹彦・悔後宗臣編『元田永孚文書』第 1 巻 伝記 日記 精興社1969 年)(この史料は、全生庵副住職 本林義範氏にご提供いただき、東洋大学教授 岩下哲典氏と小林哲也が考察)

「王師江戸ニ逹スル頃ニ德川慶喜恭順罪ヲ待チ城ヲ開テ 命ヲ奉スルノ誠心相顯ハレ 朝議寬宥ノ典ニ處セラレタリ是皆勝安房大久保越中山岡鐵太郎三人ノ首トシテ謀ル所ニシテ其王師ノ營ニ使セシハ山岡ニシテ西鄕ト能ク談判セシニ由テナリ故ニ王師刄ニ衂ラス江戸百萬ノ人民一人ヲ殺サスシテ德川氏モ亦其身家ヲ全フセシハ山岡勝大久保三人ト西鄕トノ功ト謂ハサルへカラサルナリ」

この元田永孚「還暦之記」は、鉄舟直筆による「慶応戊辰三月駿府大総督府ニ於テ西郷隆盛氏ト談判日記」(明治15年成立 全生庵所蔵)より早い時期に鉄舟自身が語った史料として重要であると指摘された。

小林氏のご発表、さすがに大学院博士後期課程在籍の新進気鋭研究者に相応しい内容で、多角度から集積整理、鋭い視点での分析、新史料に基づく新鮮な考察が加わり、実に参考になりましたこと、厚くお礼申し上げます。

 

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