2022年11月例会開催結果
2022年11月16日(水)の例会は、勝海舟の玄孫にあたられます高山みな子氏から「伊勢商人と勝海舟」についてご発表いただきました。
まず伊勢商人の竹川竹斎については、『氷川清話』・「後援者渋田利右衛門」の項で≪伊勢の竹川竹斎といふ医者で、その地方では屈指の金持で、蔵書も数万巻あった≫と記されていると説明。(医者というのは海舟の記憶違い)
次に伊勢商人とは何か。その最も代表的な存在は、江戸に呉服店の越後屋を出店して三井の基礎を作った三井高利であるが、竹川家も幕府御為替御用を務め、三井家と肩を並べるほどの豪商で、本家の竹川と、新宅の竹川と、東の竹川という三つの流れがあった。竹斎は東・竹川家の七代目。
このように伊勢に豪商が輩出した背景は、独自の情報ネットワーク、それはお伊勢参りに向かう人々が安濃津(三重県津市)や松阪を経由していくので、諸国の情報を入手できることが発展につながったと解説。
竹川家と海舟との関係については、竹斎の実弟である竹口信義の日記に遺されていて、その日記から高山氏が17通を抜粋され紹介された。
例えば嘉永2年10月29日≪勝氏より新書7冊・黒船図4枚≫、嘉永2年11月11日≪勝氏へ原書返す・西洋兜来る≫、嘉永3年4月3日≪勝氏より砲術書来≫とあるように、時勢に関する情報・資料がお互いに交わされており、これらが嘉永6年(1853)7月の海舟『海防に関する意見書』につながっている。
なお、『海防に関する意見書』は次の五項目であると説明。
- 有能な人材の登用、②海の警備の重要性、③江戸の防備、政治の中心・首都機能の維持、④兵制改革、人材育成(教練学校の建造)、⑤火薬、鉄砲玉、武具の製造、次男三男や老人などの活用(生活支援にも)。
また、同年6月には竹斎も『海防護国論』を著し、同書を海舟に送ったところ、海舟は門人・大久保喜右衛門を通し幕府閣老に提出、閣老や海防方へ回覧されたという。
高山氏の幅広く且つ深く研究し検討されたご発表に、参加者から称賛の声が事務局に多く届いております。
高山氏のご発表に深く感謝申し上げます。
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