2022年10月例会は埼玉大学名誉教授・日本武道学会会長の大保木輝雄先生から「一刀正伝無刀流開祖山岡鉄舟」についてご発表いただきました。
大保木先生はレジメ8頁、資料5部、それと木刀、竹刀など、多くご持参いただき、上泉秀綱、柳生宗厳、塚原卜伝、柳生宗矩、小野忠明、小野業雄、千葉周作、中西子定、中西子武、浅利義明、井上八郎など、そして山岡鉄舟、その鉄舟を師と仰ぐ高野佐三郎、内藤高治など、高名な剣士について触れられました。また、その太刀捌き・極意を、例会会場で、当日、ご参加された安孫子市剣道連盟会長の日髙靖輝氏をお相手に、いくつかの立ち筋を展開されました。

このように詳しく、熱きご説明をいただきましたが、中でも「嘉納治五郎と山岡鉄舟」について触れられた際には、鉄舟研究をしている者として新たなる意義を勉強させていただきました。
それは、この二人が、明治という時代に、過去の遺物として葬り去られようとした「武術」を再興・再生させたという共通点をもっていることからです。
まず、嘉納治五郎、日本古来の柔術を「柔道」と改称し、理論・技術内容を再編・体系化し「講道館」を設立して世界にその名を知らしめたと述べられ、鉄舟については、古流剣術の淵源を探り剣術の本質の何であるかを徹底究明とて無刀流の開祖となり、「春風館」を設立したと力説され、この両者を高く位置付けられました。
なお、治五郎と鉄舟の年齢差は24歳。親子ほど離れているが、奇しくも明治15年に治五郎は22歳で「講道館」を、鉄舟は45歳で「春風館」を開設しているのに、二人の交流を示す資料が見つからず、今後の研究課題とも言われました。
大保木先生のご熱心なるご講演に、例会会場は満席となる盛況でした。
大保木先生に深く感謝申し上げます。
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