2022年9月例会開催結果
2022年9月21日(水)は、二松学舎大学講師の寺内進先生から「鐡舟書の鑑賞と諸問題」について、概略、以下のようにご発表いただきました。
寺内先生は昭和52年(1977)、二松学舎大学で故寺山旦中先生との御縁から山岡鐡舟の書と接し、以後、鐡舟書について研究をされてこられ、鐡舟書は、筆の先から気があふれる書き方であり、一般の書とは呼吸が異なると高く評価され、鐡舟は生涯に百万点書いたと称されると解説されました。
しかし、鐡舟書には贋作とは言えないが「似ている書」が多くあるのも事実で、次の三名について解説をされました。
- 鈴木寛長・・・春風館道場の塾長であり、立切試合を85面行ったという
- 山名鐡斎・・・かなりの数を書いたようで、地方の旧家からまとまって見つかる例がある
- 小平重太・・・栃木県野中村の村長で全生庵建立に並々ならぬ貢献をした
だが、最近では「敷き写し」と思われる技法で作られた贋作がネットオークションにかなりの量で出品されている。制作方法は、書の画像を現物の大きさまで引き延ばし、その上に紙を載せて「なぞり書き」をする。よって字形が似ている上、筆意もある。
寺内先生は、上記①から③と、「敷き写し」の事例をいくつか実際に解説されました。
次に鐡舟が実際使用した筆について紹介され、その筆を参加者に回覧、実際に鐡舟が書いたと思われる書き方についても実技をされました。
続いて、鐡舟が用いた「圓山大迂刻」による「鐡舟印と側款」ついて解説され、鐡舟が書いた手紙「全生庵葵観世音堂建立の勧進」、「全生庵建築の勧進御礼」、「海舟宛書簡」の手紙について解説されました。
次の鐡舟書簡は「全生庵葵観世音堂建立の勧進」であり、書かれた書について解読されましたので、紹介いたします。
<釈文>
今般、東京谷中全生庵葵観世音道場建築勧進の為、各府県下へ派出致させ候間、右件宜敷く御依頼申し入れ候也。明治十八年六月廿五日 山岡鉄太郎 各府県 各宗寺院御中
今月の例会は鉄舟書という難しいテーマでしたが、鉄舟書を多数採り上げていただき、加えて、筆と実際の書き方についても、ご親切に分かりやすく解説していただきました。
今まで我々が知らなく、理解が難しかった分野の例会であり、ご参加の方は、大変ご参考になられたと思います。
改めて寺内先生に感謝申し上げ、今後とも鉄舟書の鑑定につきましてご指導賜りたくお願い申し上げます。
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