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2020年2月26日 (水)

2020年2月例会開催結果

2020年2月例会開催結果
 2020年2月例会は、末松正二氏からテーマ「東郷ターン」についてご発表いただきました。 
1. 昨秋、横須賀で戦艦三笠を見学した際、連合艦隊司令長官の東郷平八郎の写真とともに、ロシアのバルチック艦隊との戦いにおいて、東郷が右手をさっと上げて左旋回を命じ、「T字戦法」を採ったという解説がなされていたが、事実は「東郷ターン」ではないかということの解説をしたい。

2. 実際に「T字戦法」を採ったのは黄海海戦である。黄海海戦とは1904年(明治37年)8月10日にロシア艦隊(旅順艦隊)との間で戦われた海戦で、図のように青色が日本艦隊で「T字戦法」を採り、赤色のロシア艦隊を攻撃する図式である。

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しかし、ロシア艦隊は日本艦隊の後部をすり抜けてウラジオストックへ向かったため、日本艦隊は慌てて逆方向にUターンして追いかけ攻撃するが、ロシア艦隊はもと来た方向へ更にUターンし、旅順港へ逃げ帰ってしまった。取り逃がしてしまったわけである。

3. 旅順港に入ったロシア艦隊、日本側はロシアが艦隊修理を行って、元の状態に戻ったと推測した。そこでバルチック艦隊が日本海にやって来る前に、旅順を攻め落としてほしいと陸軍に懇願し、陸軍は第三軍(司令官乃木希典)を派遣し、陸から旅順を攻める作戦を採った。だが、実は旅順艦隊は酷く損傷しており、8月~10月にかけてからの28インチ柘榴要塞砲による観測射撃で、実質全滅していた。つまり、陸からの旅順攻撃は不要であったのに、海軍からの懇願によってなされたロシアのセメントで頑丈に固めた永久要塞への攻撃によって、膨大な犠牲者を出してしまった。また、日本海軍は黄海海戦によって「T字戦法」がうまくいかないということが分かった。

4. バルチック艦隊が日本海に来たのは1905年(明治38年)5月。この間にウラジオストック艦隊は同年8月14日の蔚山沖(うるさんおき)海戦で殲滅されていたので、敵はバルチック艦隊のみとなった。対馬沖に現れたバルチック艦隊、日本側は併行作戦を採ろうと、最初に連携機雷による攻撃をしようとしたが、海が荒れて難しい。そこで艦隊決戦となった。日本艦隊は速力を活かし、併行しつつ敵の前部を押える「くの字作戦」を展開した。当時は大砲の届く距離は8千mといわれ、日本艦隊とバルチック艦隊は真正面に向い進んだが、左図のように日本側は西側(左側)にずれて進んだ。距離が8千mに近づいたところで、ロシア側は発砲。

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5. 日本側の砲術長(安保清種)は、右舷から発砲するのか、左舷から発砲するのか決めてもらわないと準備ができない。東郷を見やりながら砲術長が叫ぶ。「右ですか、左ですか?」東郷は一番高い艦橋に立ち双眼鏡で敵を見つめたまま無言。参謀長の加藤友三郎は距離8千mを確認し「取舵一杯」と叫んだ。これは左側に思いきり舵を切れとの命令である。東郷と加藤は視線を合わせ頷き合いました。これが有名な「東郷ターン」の真実である。日本艦隊は一斉に左転回した。驚いたのはロシア側。天の助けだ、日本側が絶好の攻撃態勢をつくってくれたと猛烈な砲撃を開始するが、波が荒く一割も当たらない。距離6千mで日本側は砲撃開始、訓練の成果もあって5割くらいの確立で命中したと言われている。ロシア側は大混乱、慌ててUターンをしたりして混乱した。

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6. これを見て第二艦隊司令長官の上村彦之亟は、第一艦隊についていかず、左旋回せずに、そのまま進行し(下の左図)、ロシア艦隊をやり過ごしてから左へ旋回し、第一艦隊と第二艦隊とで挟み撃ち(下の右図)となり、日本側の一方的勝利となった。これを後に天才参謀・秋山真之は「乙字戦法」と言った。

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7. 以上の解説は次の二冊を参照しております。
『日本海海戦かく勝てり』戸高一成・半藤一利著 PHP研究所
     
『徹底検証 日清・日露戦争』半藤一利・秦郁彦・原剛・松本健一・
戸高一成著 文藝春秋
          
末松氏のご発表、緻密な構築に基づく詳しい内容で、改めて、日露海戦について理解を深めることができました。

しかし、横須賀の戦艦三笠に書かれている連合艦隊司令長官の東郷平八郎が「T字戦法を採った」という文言表示、多くの人が訪れる場所ですから、正確を期してもらいたいものだと思います。
末松氏の明確かつ分かりやすい図表を用いたご発表、深く感謝申し上げます。

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