2018年7月例会開催結果
7月例会は、山本紀久雄が「鉄舟が三遊亭円朝に影響を与えたこと」の総集編を発表いたしました。
1. 天保10年(1839)江戸湯島生まれの円朝、30歳までを江戸期、62歳で亡くなるまでを明治期、前半と後半の時代大変化の中、落語界において円朝のみが「大師匠」(おおししょう)と称されるように、不動の地位を築く。
2. だが、維新当時の円朝は、江戸っ子を任じ、単純な徳川贔屓の心情から逃れられず、一方で急激な「欧化主義」に戸惑っていた。
3. しかし、明治10年(1877)、鉄舟の禅弟子となり、修禅によって、社会環境の時流変化に適応した生き方へ転換し、臨機応変といおうか、縦横無尽といおうか、正に、鉄舟の『剣術の流名を無刀流と称する訳書』に書かれた世界、≪過去・現在・未来の三世から一切の万物に至るまで、何一つとして、心でないものはない。心というものは痕跡を残さないものであり、自由自在かつ無尽蔵である。東に現れ出るかと思えば西に消え、南に現れれば北に消える。まさに神変自在、天も予測することはできない≫にたどりついた。
4. その事例として、円朝の作品「芝居噺」「怪談噺」「伝記物」「人情噺」「翻案物」「北海道取材作」「落語」と7分類から、以下の3分野を取り上げ、いずれも鋭い時代感覚で展開している内容を解説いたしました。
●怪談噺 真景累ヶ淵 安政6年(1859)創作
・・・江戸期からの客層に対応
●伝記物 塩原多助一代記 明治11年(1878)創作
・・・地方人の東京移住者に対応する「新時代の生き方提言」とし、
道徳教科書にも掲載される
●翻案物 英国孝子ジョージ・スミス之伝
・・・明治16年(1883)鹿鳴館開館に見られる時の欧化政策に対応
5. 今回の発表で、鉄舟研究の基礎編を終えましたので、今後は「総合的鉄舟像」について研究し発表してまいります。
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